健診の検査結果の標準化

検査結果の標準化の問題を考える時によく上げられる例がHbA1cではないでしょうか。むかし、新潟県で血糖値は新潟県内に地域的格差はないけれども、HbA1cが見かけ上地域格差が認められてそれがその地域をまとめている検査機関がちがうことにより生じていたということがありました。これはそれぞれの検針期間の使用している機器が異なっていたことに由来していました。HbA1cの標準物質はそのときにもあったのですが、それの使い方については検査機器を作るメーカーにそれぞれ任せられていたので標準物質をもちいた機器の作成過程で誤差が生じてしまっていたようでした。この情報は糖尿病学会や厚生労働省にも伝わり、臨床医師にとって検査を標準化するということがどれだけ大切なことか再認識する事件でした。いまではこのような問題を解決するためにトレーサビリティ制度というものが採用されている。全国規模で行われている特定健康診査においてもH19に発行された標準的な健診、保健指導プログラムがまとめられ、厳しい検査の標準化が求められている。そしてそれをさらに進化させ、標準的な健診、保健指導プログラムにおける血液検査8項目のトレーサビリティに関する指針というものが日本臨床検査標準協議会により唱えられ、HbA1cで述べたように標準物質が決まればそれでよいというわけでなく、いつどこで誰がどこでどのように検査しても同じように判定できるように繰り返しあらゆる段階で確認を取ること、つまり正確なトレーサビリティが今求められています。そして人間ドック検針期間もあたりまえのようにこれらの検査の標準化の徹底に取り組む必要があります。