人間ドックの歴史と意義

50年以上の歴史がある人間ドック健診は、日本特有のものであり、労働者の健康維持というものが、健康保険制度でも考えられ、病気の早期発見や予防を目的として行われてきました。また第二次世界大戦後の経済発展とともに、食生活も大きく変化し、脂肪分の摂取、主に肉の摂取量が大きくなったことや、作業の機械化が進んだことによるエネルギーの消費不足による肥満がもたらされているといった背景から、生活習慣病が増加している現状に対し、特定健康診査というものが行われるようになったようです。予防的な視点というのも、将来、健康な日本人が多くなるのではないかと期待されているのではないでしょうか。労働安全衛生規則による定期健康診断は労働者に対して健診を行うことを目的とし、受診者は若い人が多いそうです。しかし人間ドックは特定健康診査とは目的が異なり、対象とする人や年齢とは少し異なるようです。多くは「自覚症状のない人」を対象としており、検査のみでも疾病の早期発見に有効かと考えられています。しかし、その結果に対して健康指導がなされないことには、疾病を予防するのは難しいと言えるでしょう。人間ドックは1959年から実施されてきたようですが、始まった当初はお金持ちを中心に一週間の入院ドックというものもあって莫大な費用が掛かってしまっていたようです。しかし今では医療機器の発達により、時間は大きく短縮され、半日で終了するという手軽さになっているでしょう。このため、広く普及するようになったと言われています。職員の健康管理を目的として人間ドックの受診料を出しているという企業も今では多いようですが、その対象年齢は35歳以上としている企業が多く、企業によって異なるようです。企業を退職したのちは個人で受診を続けるか、任意継続被保険者として企業で受けるという人もいるでしょう。また個人で受診する場合には年齢制限はなく、企業に所属していても、設定された受診項目だけでなく、本人の希望で検査項目を追加することもできるようになっているようです。